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​キャビンのテーブルでくつろぐマーモット     人々を見るマーモット          写真を撮るためにアシカに近づく観光客

アウトドア活動が野生動物に与える影響 
長期的な人馴れに着目して 

 

現在、世界各地でアウトドアアクティビティが大きなブームになっています。普段、都市で暮らす多くの人にとって、自然が豊かな場所に訪れて野生動物に触れあう機会を持つことは、環境問題への関心を高めたりや健康複利の向上が期待されるなど重要な役割を持っています。その一方で、こうした人と野生動物の接触は、野生動物に様々な影響をもたらすことが指摘されています。私は、野生動物の行動の変化に着目することで、人々のアウトドア活動が野生動物にもたらす影響を調べています。例えば、野生動物が人間を恐れて敏感になったり、逆に人に馴れて怖がらなくなることが、長期的にその個体や集団にどのような帰結をもたらすかを調べました。例えば、北米のロッキーマウンテンに生息するキバラマーモットを使った研究では、人と接触する機会の多い場合、一見すると人に馴れている様に見える個体でも、実は常に人に注意を払っており、食事に十分集中できていない可能性が明らかになりました。また、約15年にわたるデータを解析したところ、人と接触する頻度の高い集団では、食事に集中できないことにより、年々体重の増加率が下がっていることが分かりました。人との長期的な接触は、食事行動の減少を通じて生存率にも影響しているかもしれません。つまり、対策をすること無しに、更なる人と野生動物の接触増加が起きた場合、野生動物の集団に悪影響をもたらしかねません。さらに、根本的な警戒心の変化と人に対する行動の変化の行動学的関連性を調べた結果、状況依存の関係性を持つなど複雑なパターンを持つことが分かりました。現在、更なる研究・解析を行うことで、複雑な人馴れの行動学的メカニズムや、野生動物に対する詳細かつ総合的なアウトドアの影響を調べています。私も、キャンプや登山、自然写真が趣味ですが、自分が彼らにもたらす影響を考えながら、注意して自然を楽しむ必要性を強く感じます。

​[参考論文]

Uchida K. and Blumstein D.T. (2021). Habituation or sensitization? Long-term responses of yellow-bellied marmots to
    human disturbance. Behavioral Ecology. 32(4): 668-678.

​・Uchida K., Burkle AA., Blumstein DT. (2022)​. Take only pictures, leave only… Cameras influence marmot vigilance but not 
​ perc
eptions of risk. Journal of Zoology. Early view: https://doi.org/10.1111/jzo.13032

​・Uchida et al. (major rev.)

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