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都市の馴れ馴れしいリスたち  

これまで私は、エゾリスの警戒心の変化について調べてきました。Flight initiation distance (FID;人間が近づくことができる最短の距離)を警戒心の指標として用いて、ひたすらエゾリスを追いかけてきました。本来エゾリスは、様々な生物のエサでもあるため警戒心が高い生物です。しかし、都市部のリスたちは郊外の森林のリスに比べて警戒心が1/3にまで低下していることが分かりました。また、本来は季節によって変化する警戒心が、都市のリスでは一年を通して低く安定していることを発見しました。さらに、都市と郊外のリスに人間・捕食者・未知の物を近づけてFIDを見ることで、行動の変化が根本的な警戒心の低下に加えて、人間への強い馴れによって生じていることを明らかにしました。警戒心は、生存率や適応度に直結する個体の性質です。都市化の影響を正確に評価するためには、人間活動にともなう警戒心の変化プロセスやその波及効果について、さらに深く掘り下げていく必要がありそうです。論文では、警戒心の変化のパターンやプロセス、さらにその適応的な意義について考察しています。野外観察をベースに、必死にエゾリスを追いかけ、時にはダンボールで身を隠したり、キツネの剥製を近づけたりしながら、泥臭くも好奇心の赴くままに研究をしています。

・小泉研HPの研究紹介

街で暮らすエゾリスとの距離感:馴れ馴れしさを測る. BuNa Bun-ichi Nature Web Magazine

 

 

 

・Uchida K., Suzuki K., Shimamoto T., Yanagawa H., and Koizumi I. (2016) Seasonal variation of flight initiation distance in  Eurasian red squirrels in urban versus rural habitat. Journal of Zoology. 298: 225-231.

・Uchida K., Suzuki K., Shimamoto T., Yanagawa H. and Koizumi I. (2019) Decreased vigilance or
   habituation to humans? Mechan
isms on increased boldness in urban animals. Behavioral Ecology. 30:1583-1590.

 

[参考論文]

[もっと詳しく知りたい人]

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