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On the tree
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煙と怖がりなリスほど高いところへ?  
警戒心を測る指標の開発

生物にとって、危険なものにどう行動するかは、自身の生存に直結します。例えば、天敵が近づいた際の逃げる行動もそのひとつです。これまで動物行動学では、生物がどういう環境・状況で、どのように逃げるか様々な研究が展開されてきました。その際に、警戒心の指標として、Alert distance (AD; 対象個体が天敵の接近に気付いた瞬間の天敵との距離)や、Flight initiation distance (FID;対象個体が逃げ出した瞬間の天敵との距離)といった行動が使われてきました。しかし、いずれも地面にいる個体を観察の対象としているため、見晴らしのいい場所でしか使えない制約がありました。そこで、リスが樹を使って逃げるという行動に着目して、怖がりほど高いところまで登るのでは無いかと仮説を立て検証しました。その結果、FIDが長いリスほど高くまで登ることが示され、登るのを止めた時の高さが警戒心の指標になることがわかりました。Vertical escape distance (VED)と名付けたこの指標によって、森の中で暮らしたり逃げる際に樹を使う生物の警戒心を測ることができるようになりました。ちなみに、私も木登りは得意で高いところが大好きです。


・Uchida K., Suzuki K., Shimamoto T., Yanagawa H., and Koizumi I. (2017) Escaping height in a tree represents  a useful  indicator  of fearfulness in an arboreal squirrel. Mammal Study. 42(1): 39-43.

[参考論文]

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