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威嚇しながら接近
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公園での個性実験の様子         威嚇しながら接近するリス             実験中のリス

都会っ子リスの個性を探る  

私は、都市で暮らすリスがどの様な個性(Animal personality)を持っているのかに興味を持ち調べてみました。人工的な環境で生きているリスには、自然下とは違った独特な個性が見られるかもしれません。最近の研究から、都市の生物は活発で、向こう見ずで(大胆)、けんかっ早く(攻撃的)、ストレス感受性が低いといった個性を持つことが分かってきました。こうした個性は、人間が行き交う騒がしい環境でも、より多くのエサを手に入れたり繁殖をするうえで有利だと考えられています。しかし、鳥類を中心に明らかになってきたこうした傾向が、哺乳類でも同じようにみられるのかについてはよく分かっていませんでした。生物種が違えば、都市環境の影響の受け方も異なってくるとされています。そこで、動物行動学で発展してきた個性を測る実験方法、Open field test(未知の箱に入れられた際の反応の仕方), Mirror image stimulation(鏡に映った像に対する反応の仕方), Flight initiation distance(近づく人間に対する反応)などを使って様々な個性を都市と郊外のリスで比較してみました。実験の結果、驚いたことに従来の研究結果とは異なり、都市と郊外のリスの間でほとんどの個性に明瞭な違いが見られませんでした。しかし、人間に対する大胆さや攻撃性は都市のリスの方が高いことが新たに分かりました。つまり、都市のリスは人間を怖がらないことに加えて攻撃的な反応を示しやすいようです。公園では、人々が写真を撮ったりエサを与えるためにリスに近づくシーンを度々見かけます。この研究の結果から、リスにとっては、こうした日常的に人間との関わりが強い刺激となり行動の変化を引き起こしているのかもしれません。ちなみに、私は他の人と比べて活発かつ大胆で好奇心が強い方だと思います。まさに、City boyの個性です。。。
​*エゾリスの調査(捕獲と実験)には、北海道庁や倫理委員会等より特別な許可を得て執り行っています。また、海外のリス研究者のアドバイスを貰いながら安全に配慮して調査を行っています。



Uchida K., Shimamoto T., Yanagawa H. and Koizumi I.(2020) Comparison of multiple behavioral traits between urban  and  rural squirrels. Urban Ecosystems. 23:745-754

[参考論文]

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